「あれ?Googleアナリティクス(GA4)とサーチコンソールの数字が全然合わない…どっちが正しいの?」
Webサイト運営に携わっていると、こんな疑問にぶつかることはありませんか?特に、サイトへのアクセス状況を示す「表示回数」や「クリック数(セッション数)」がツール間で異なると、分析に戸惑ってしまいますよね。
ご安心ください!この2つのツールの数字が合わないのは、実は当たり前のことなんです。それぞれのツールが持つ役割やデータの計測方法が違うため、ズレが生じるのは自然な現象です。
この記事では、Webサイト分析に欠かせないGA4とサーチコンソールの数字がなぜ合わないのか、その主な理由を初心者の方にも分かりやすく解説します。それぞれのツールの正しい見方や活用法もご紹介するので、ぜひ最後まで読んで、日々のサイト改善にお役立てください。
そもそも、GA4とサーチコンソールって何が違うの?

数字の違いを理解する前に、まずはそれぞれのツールが「何をするためのものか」を簡単におさらいしましょう。
ツール名 | 分析対象 | 主な役割 |
サーチコンソール | ユーザーがサイトにアクセスする前 | Google検索でのサイトの健康状態や表示状況をチェックする |
GA4 | ユーザーがサイトにアクセスした後 | サイト訪問者の行動(どこから来て、何を見て、何をしたか)を分析する |
サーチコンソールは、いわば「お店の外から、お店が検索結果(Google)でどう見られているか」をチェックするツールです。
- どんなキーワード(検索クエリ)で検索された時に、自分のお店(サイト)がGoogleの検索結果に表示されたか?(表示回数)
- その表示から、どれくらいの人がお店の看板(検索結果のタイトルや説明文)をクリックしてくれたか?(クリック数)
- 検索結果のどの位置に表示されているか?(掲載順位)
などを知ることができます。SEO対策(検索エンジンで上位表示させるための施策)の効果測定や、サイトの技術的な問題発見に役立ちます。
一方、GA4は、「お店の中に入ってきたお客さん(サイト訪問者)の行動」を詳しく見るためのツールです。
- お客さんはどこから(どの経路で)お店に来たのか?(検索エンジン、SNS、広告、ブックマークなど)
- お店の中でどの棚(ページ)をどれくらい見たか?(ページビュー数)
- どれくらいの時間、お店に滞在したか?(平均セッション時間)
- 商品(コンテンツ)を一つだけ見て帰ってしまったか?(直帰率)
- 最終的に商品を買ってくれたか?(コンバージョン)
などを把握できます。サイト内のコンテンツ改善や、ユーザーにとって使いやすいサイト設計(UI/UX改善)に役立ちます。
サーチコンソールは「お店の外観」、GA4は「店内の様子」を見るツールと考えると、役割の違いがイメージしやすいでしょう。
このように、見ている場所(Google検索上 vs サイト内)と目的が根本的に違うことをまず理解しておきましょう。
なぜ?GA4とサーチコンソールの数値が合わない3つの主な理由
さて、ここからが本題です。GA4とサーチコンソールの数字、特に「表示回数」や「クリック数(セッション数)」がなぜ合わないのか、主な3つの理由を見ていきましょう。
理由1:見ている「場所」と「指標」が違うから

これが最も大きな理由です。
サーチコンソールの「表示回数」
Googleの検索結果ページで、あなたのサイトへのリンクが表示された回数です。ユーザーが実際にそのページを見たかどうかは関係なく、検索結果に含まれていればカウントされます。
GA4の「表示回数(ページビュー数)」
あなたのWebサイト内の特定のページが読み込まれ、表示された回数です。ユーザーがサイトにアクセスして初めてカウントされます。
つまり、サーチコンソールは「検索結果での露出度」、GA4は「サイト内での閲覧回数」を見ており、そもそも計測しているものが全く異なります。
同様に、「クリック数」と「セッション数」も意味合いが異なります。
サーチコンソールの「クリック数」
Googleの検索結果ページで、あなたのサイトへのリンクがクリックされた回数です。クリックした直後にユーザーが「戻る」ボタンを押しても、基本的には1クリックとしてカウントされます。
GA4の「セッション数」
ユーザーがあなたのWebサイトを訪問し、離脱するまでの一連の行動を1セッションとしてカウントします。(※厳密には30分以上操作がない場合などもセッションが切れます)。検索結果をクリックしても、サイトが完全に読み込まれる前に離脱した場合などは、セッションとしてカウントされないことがあります。
項目 | サーチコンソール | GA4 |
---|---|---|
表示回数 | 検索結果にURLが表示された回数(※クリックされなくてもカウント) | ページが実際に読み込まれて表示された回数 |
クリック数 / セッション | 検索結果でクリックされた回数(※戻るボタンを押してもカウント) | サイト上でユーザーの行動が発生した「訪問1回分」 |
このように、計測している場所(検索結果 vs サイト内)と指標の定義が違うため、数値が一致しないのは当然なのです。
理由2:見ている「検索エンジン」の範囲が違うから

サーチコンソール
Google検索からの流入データのみを計測しています。Yahoo!やBing、DuckDuckGoなど、他の検索エンジンからのアクセスは対象外です。
GA4
すべての流入元からのアクセスデータを計測します。Googleはもちろん、Yahoo!、Bingなどの他の検索エンジン、SNS(X, Facebook, Instagramなど)、他のサイトからのリンク(リファラル)、ブックマークやお気に入りからの直接アクセス(ダイレクト)なども含まれます。
日本ではGoogleのシェアが高いとはいえ、Yahoo!なども依然として多くのユーザーに利用されています。
日本の検索エンジンシェア(例)
(※参考データであり、時期によって変動します)
デバイス | Yahoo! | Bing | その他 | |
パソコン | 約75% | 約14% | 約10% | 約1% |
スマートフォン | 約75% | 約24% | 約0.3% | 約0.7% |
*出典に基づいた参考値です。
GA4はこれらのGoogle以外の流入もすべて「セッション」や「ページビュー」としてカウントするため、Google検索のみを対象とするサーチコンソールの「クリック数」や「表示回数」よりも数値が大きくなる傾向があります。
理由3:見ている「時間」の基準が違うから (タイムゾーン)

意外と見落としがちなのが、タイムゾーンの違いです。
ツール名 | デフォルトの時間設定 |
---|---|
サーチコンソール | 太平洋時間(PST) |
GA4 | 日本標準時(JST)など、任意で設定可能 |
サーチコンソール
データは太平洋時間 (PT) で記録・表示されます。日本との時差は通常17時間(サマータイム期間中は16時間)です。
GA4
デフォルトでは、アカウント設定時に指定した国のタイムゾーン(日本の場合は日本標準時 JST)でデータが表示されます。
例えば、日本時間の「4月1日」のデータを見ようとしても、サーチコンソールでは太平洋時間の「4月1日」のデータが表示されるため、集計期間がズレてしまいます。この時間のズレも、両ツールの数値が一致しない一因となります。
(GA4のタイムゾーンは「管理」>「プロパティ設定」で確認・変更できますが、むやみに変更することは推奨されません。)
それぞれのツールの正しい見方と活用法

数字が合わない理由が分かったところで、大切なのはそれぞれのツールをどう活用するかです。
サーチコンソールで見るべきこと・できること
どんなキーワードで検索されているか?

「検索パフォーマンス」レポートで、表示回数やクリック数が多いキーワードを確認し、ユーザーの検索意図を探る。
どのページの検索順位が高い/低いか?
ページごとの掲載順位を見て、リライト(記事修正)が必要なページを見つける。
クリック率はどうか?
表示回数は多いのにクリック率(CTR)が低い場合、タイトルやディスクリプション(検索結果の説明文)に改善の余地あり。
サイトに技術的な問題はないか?
「インデックス作成」や「エクスペリエンス」レポートで、Googleにページが正しく認識されているか、モバイル対応はできているかなどを確認。
⇒ SEO対策の現状把握と改善点の発見に活用!
GA4で見るべきこと・できること

ユーザーはどこから来ているか?
「集客」レポートで、検索エンジン、SNS、広告など、どの経路からのアクセスが多いかを確認。効果的な集客チャネルを見極める。
どのページがよく見られているか?
「エンゲージメント」レポート(ページとスクリーン)で、人気のコンテンツや、逆に見られていないコンテンツを把握。
ユーザーはサイト内でどう動いているか?
平均セッション時間や直帰率、離脱ページなどを見て、ユーザーが満足しているか、どこでサイトから離れてしまうのかを分析。
目標(問い合わせ、購入など)は達成されているか?
「コンバージョン」を設定し、サイトの成果を測定。
⇒ サイト内のコンテンツ改善、導線設計の見直し、マーケティング施策の効果測定に活用!
【現場のよくある誤解】とその回答(FAQ形式)

- Q「GA4の表示回数が0だけど、ほんとに誰も見てないの?」
- A
GA4で0になる主な原因は次のとおりです
- GAタグが正しく設置されていない
- フィルター設定により除外されている
- テスト環境や特定のページのみアクセスされている
まずはタグの設置や公開状態を確認しましょう。
- Q「サーチコンソールで検索順位が上がったのに、アクセスが増えないのはなぜ?」
- A
順位が上がっても、
- 表示されているクエリの検索ボリュームが少ない
- タイトルやディスクリプションがクリックされにくい
- 他の競合サイトが魅力的 などの理由でクリックされないことがあります。
CTR(クリック率)を見て改善しましょう。
- Q「検索クエリに社名ばかり出るけど、SEOできてないってこと?」
- A
社名検索は「指名検索」といって、すでにあなたの会社を知っている人が検索してくれている状態です。
SEOで重視したいのは「非指名キーワード」(サービス内容や課題系)での流入です。
指名検索「以外」のクエリにも露出できるように、コンテンツやページを見直していきましょう。
簡単な分析&改善アクション例

読んだあとすぐに取り組める、初心者向けの分析と改善アクションを紹介します。
✅ クリック率が低いページのタイトル改善チェックリスト
- タイトルにキーワードは入っているか?
- 数字や具体性を加えているか?(例:「3つのポイント」)
- ユーザーの悩みに直結しているか?
- 競合と比べて魅力的か?
- ディスクリプションも確認して、誘導力があるか?
→ サーチコンソールで「表示回数は多いのにクリックが少ないページ」を中心に改善を。
✅ GA4で「流入元ごとのセッション数」を見る方法と改善案
- [レポート] → [集客] → [トラフィック獲得] を開く
- 各チャネル(Organic Search、Direct、Referralなど)のセッション数を確認
- どこからの流入が多いか/少ないかを把握
→ SNSやメルマガ、外部リンクの効果も確認して、足りないチャネルを強化
✅ サーチコンソールで「クエリ→ページ」の関係を見てリライト候補を選ぶ
- サーチコンソール → [検索パフォーマンス] を開く
- 「ページ」タブで該当ページを選択
- 上部の「+新規→クエリ」で、そのページに紐づく検索クエリを表示
- 「クリック数が多い=ユーザーの期待に応えている」 「表示回数は多いがクリックが少ない=改善の余地あり」
→ クリックが少ないクエリを参考にして、タイトルや本文を改善(リライト)する
【おまけ】サーチコンソールの中でも数値が合わないことがある?

サーチコンソールのレポートを見ていると、「合計クリック数」と「キーワードごとのクリック数を足し合わせた数」が一致しないことがあります。これも心配いりません。
Googleはユーザーのプライバシー保護のため、検索回数が極端に少ないキーワードや、個人情報に関わる可能性のあるキーワードのデータは表示しないことがあります。また、データ量が膨大な場合、すべてのデータが表示されるわけではなく、一部制限されることもあります。そのため、合計値と内訳の合計が一致しないことがありますが、分析上、大きな問題になることは少ないでしょう。
まとめ
今回は、GA4とサーチコンソールの表示回数やクリック数(セッション数)が合わない理由と、それぞれのツールの正しい見方について解説しました。
- GA4とサーチコンソールの数値が違うのは当たり前!
- 理由は主に「①計測場所・指標の違い」「②計測対象(検索エンジン)の違い」「③タイムゾーンの違い」。
- サーチコンソールは「サイト外(Google検索)での見え方」を把握し、SEO対策に活かす。
- GA4は「サイト内でのユーザー行動」を分析し、サイト改善やマーケティングに活かす。
それぞれのツールの特性を理解し、目的に合わせて使い分けることが、効果的なWebサイト運営の鍵となります。「数字が合わない!」と悩むのではなく、「なぜ違うのか」を理解した上で、両方のツールから得られる貴重なデータを、ぜひあなたのサイトの成長に役立ててくださいね。